咳をする母さん
風を捲いてへばりついた犬の遠吠えが
ぼくの外套にべっとりと
こすってもこすっても三日月の形に落ち込んでゆく
真直ぐな深淵は
ななめに歪む夜に
虚しく咳こんで
ぼくをうつす
ぼくは浅ましくない
もう一人の家にいこう
母さん 母さん
ぼくは病んでいるんだね